『長文10タイトル』 よりお題を戴きました。

爽やか
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01
雲が流れ風が吹き、空は笑った
02
背伸びして笑う向日葵の向こう側、青と白だけがやけに目に沁みて
03
空を見上げ夢を語る君の瞳に、今僕は映っているのかな
04
君にもし空を翔ける翼があるなら、僕はきっと風になろう
05
僕達の未来はただ眩しすぎて見えなかっただけ
06君の言葉はいつだって僕のこころに響くんだ
07
僕の心は言葉という羽根になり、歌という風にのって君に届くだろう
08
このきらきらした一瞬をぎゅっとガラスの壜に閉じ込めてしまえればいいのに
09
日々長くなる影に、夏は色褪せていく
10
ふいに涙ぐみそうになったのは、眩しすぎる太陽のせいにしておいて

 

切ない
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01
譲れない願いと孤独な強さを抱き、彼は其処に立つ
02
頑張れという言葉は残酷でしかないのに
03その夢の眩しさに僕はまたうな垂れた (前編)
04彼はまた言うべき言葉がそこにあるかのように虚空を見つめ
05
それなら僕は君のぶんまで笑おうか
06
そう言って俯く君の横顔は少しだけ傷付いて見えた
07
僕は精一杯の明るさで答えたけれど、多分上手く笑えていない
08
だって僕はあいつにはなれない
09
僕は君の中にしか存在意義を見出せないから
10
だからもう少しこのままでいてくれないか、なんてちょっと甘いかな

 

喪失
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01
彼は大切な人を失った、そして僕には失うべき人すらいなかった
02
気が違ってしまいそうなくらい愛せる人がいたら、いいのに
03
だって僕は彼のようにきれいじゃないから
04
君はいつだって何かと戦っているのさ
05僕はいつもその優しさに救われるんだ
06嘘でもいいから嫌いだと言ってくれたら
07君のその純粋さはいつも僕を打ちのめす
08
僕は君が思ってるほどきれいじゃない
09
君の言葉はいつも空っぽだったじゃないか
10
僕らは少し遠くまで来過ぎてしまったようだね

 

愛する
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01
もしもあなたがいるのなら、神様お願いです、どうかこの一瞬が永遠であるようにと
02
切ないから好きなのか、好きだから切ないのか
03この胸の痛みには恋というラベルを
04
幸せは倍に、悲しみは半分に
05
愛の唄をうたって、あたしは不器用に君の声を拾ってみせるから
06
嘘だって気付いてた、それでも信じたかった
07
その一瞬が幸せなら僕はそれでいい
08
こういう愛し方もあるんだってこと
09
あなたの絶対は当てにならないもの
10
一番言いたかった言葉は出てこないまま、また笑った

 

卑屈
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01
偽者の真実、本当の嘘
02
運命なんてただの言い訳にすぎないじゃないか
03
正義はいつだって屈折している
04
僕らは見たいものを見たいように見ているだけで
05
真実はときに嘘よりも残酷
06
偶然が重なるとそれはもう偶然ではなくなるってこと
07
人間に平等なのは生きることじゃない、死ぬことだ
08
何かを選ぶということは他の何かを捨てるということだろ
09
優しさは常に優越感の裏返しだよ
10
死んだ人ほどきれいなものはないね

 

戦い
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01
この戦いは、間違っている
02
何が正義で何が悪なのかなんて、誰にもわかるはず、ないのに
03
英雄は孤独だ、だから強い
04
生きていくことの重さに耐えられなかったのかもしれない
05
誰だって本当は神様を望んでいる
06
だってこの世に生まれるか否かってことだけは、本人には選びようがないじゃないか
07
誰かと同じ瞬間を共有するためさ
08
もうちょっと頑張ってみるか、この積み重ねで毎日が過ぎてゆく
09
どうして生きているのか、そんなの馬鹿げてる
10
僕はここにいる、ただそれだけだ

 

はじまり
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01
俯いて背中丸めて馬鹿にしたような薄ら笑い、悪いけど俺は先に行くよ
02
人を愛するのに理由が必要か?
03
もううんざりなんだ、逃げ道を残しへらへら笑ってるだけの毎日なんて
04
そうやっていつも逃げてばかりで、一度くらい本気を見せてみろよ
05
恋愛と性欲を一番最初に結びつけたやつは天才だね
06
何もない、ああそうさ俺にはもう何もない
07
蹴飛ばしてしまえ、さよならの四文字なんて
08
いつ壊れてしまうのかと不安の影に怯えて、お前らそれで幸せか?
09
ここから先は不可知領域、もう後戻りは出来ないぜ?
10
俺の話はこれでおしまい、よくある話さ

 

空虚
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01
もう何も見たくない聞きたくない、そう言って目を閉じ耳を塞いだ
02
不機嫌な灰色の空は、今日は人々に何を降り注ぐのか
03
ラジオから聴こえるのは、無意味な言葉に飾られた虚しいニュース
04
開いたままの蛇口からはとりとめもなく欲望が溢れ
05
プラスチックの夢が散らばった部屋であたしは一人
06
ヘッドフォンから流れる虚構の夢をノイズが必死にかき消そうとして
07
窓の外、四角く切り取られた空が今日はやけに遠い
08
あたしたちの絆はすれ違ったまま
09
正しいと信じていた神には顔がなかった
10
破られた聖書、最後の1ページには何が書いてあった?

 

生意気
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01
あんたの勝ち、俺の負け、悔しいけどね
02
俺は誰も傷つけないかわりに自分も傷付きたくない、卑怯な奴さ
03
投げ遣りに前向き、これ、俺の信条ね
04
地球が回ってようと太陽が回ってようと、俺には関係ないね
05
いいぜ、友達になろうじゃないか
06
あんたと一緒なら完璧、怖いものなんてない
07何って、言葉どおりの意味だけど
08
まぁいわゆる自己改革ってやつをね
09
英雄になるのに条件があるなんて、誰が言った?
10
あぁいいさ、どうせ死ぬのなら精一杯今を生きてやる

 

まっすぐ
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01
ストレート、ど真ん中、俺は完全に振り遅れ
02
軽い敗北感、でも嫌じゃねーぜ?
03
感傷的なのは俺には似合わない、そうだろ?
04
関係あるんだよ、大有りだ
05
あんたみたいな奴に限って長生きするのよ
06
俺なら格好悪くてもいい、何が何でも逃げてやる
07
物語のヒーローってのはちょっとださいくらいが丁度良いんだ
08
そうすれば、もう少し自分のことを好きになれるのかしら
09
そうこなくっちゃ、頼りにしてるぜ
10
どうして?そう訊かれたらこう答えればいい、太陽が熱過ぎたんだってね

 

恋い恋われ
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01
しまった、でも気付いたときにはもう遅い
02
そんな風に真面目な顔をしないでよ
03
さっきまでの余裕はどこへいったの?
04
まいったな、最後の最後で切り札のジョーカーを見せられたみたい
05
なんとなく悔しいから、今はまだ黙っておこうか
06
一瞬全ての音が止み、世界はあたしたち二人きり
07
あたしだけが知ってる、なんて、傲慢かもしれないけど
08頬が少し赤かったのは、夕日のせいだけじゃない
09あんたは馬鹿だ、でもあたしはもっと馬鹿だ
10
世界がやっと動き出した、そんな気がした